Meta tags:
author= ヴィンチ村のレオナルド;
description= 変な事ばかりの今の日本の、気になった事を書き連ねます。;
Headings (most frequently used words):
日本の与党は変じゃない, 俊寛, しゅんかん, 役の行者, えんのぎょうじゃ, 高砂, たかさご, 自然居士, じねんこじ, 重衡, しげひら, プロフィール, 最新記事, 最新コメント, 月別アーカイブ, カテゴリ, 検索フォーム, rssリンクの表示, リンク, ブロとも申請フォーム, qrコード,
Text of the page (most frequently used words):
2021 (12), 2022 (12), 2023 (12), 2024 (10), 本当に (10), 2026 (7), カテゴリ (6), けれども (6), 2020 (5), コメント (5), その時 (5), #日本の与党は変じゃない (4), 自然居士 (4), 役の行者 (4), 国防のための戦争 (4), ナチス (4), 舎利子 (4), 核兵器の地獄絵図 (3), 平和憲法を守れ (3), ヴィンチ村のレオナルド (3), しげひら (3), 戦争犯罪人 (3), なるほど (3), 青年はうなずいた (3), おーい (3), 依般若波羅蜜多故 (3), アトリエ (2), 現代謡曲集 (2), レインボー (2), じねんこじ (2), たかさご (2), えんのぎょうじゃ (2), しゅんかん (2), に相当する (2), 軍国主義独裁者 (2), これは (2), うてな (2), そとば (2), そうだ (2), お待ちなさい (2), とも申します (2), 老人はうなずいた (2), そこの御老人 (2), 季節はもう春だ (2), つづみ (2), 私もまたそのように (2), ささら (2), よわい (2), いやいや (2), それが良いでしょう (2), これは返してやるしかないですな (2), これを聞いて (2), けれどもまた (2), すると人買いは (2), そして言った (2), ろかい (2), ひとかい (2), 御覧なさい (2), 承知しました (2), 見れば (2), ところが (2), しばらくすると (2), ほつがん (2), 何というありがたいことだろう (2), こうべ (2), 高砂の (2), ともづな (2), ですから (2), 相生の松 (2), 優れた芸術 (2), 住の江の松も (2), 古今和歌集の序文に (2), わかりました (2), 共に生きる (2), えんのおづぬ (2), このまま罪を重ねるならば (2), 最後にはお前の命も尽きる事になるであろう (2), この国が様々な禍 (2), わざわい (2), 行者様 (2), 般若心経 (2), 即説呪曰 (2), 能除一切苦 (2), 真実不虚 (2), 是無等等呪 (2), 般若波羅蜜多 (2), 是大神呪 (2), 是大明呪 (2), 是無上呪 (2), 三世諸仏 (2), 得阿耨多羅三藐三菩提 (2), 以無所得故 (2), 亦無老死尽 (2), 無無明 (2), 亦無無明尽 (2), 不生不滅 (2), 不垢不浄 (2), 不増不減 (2), 舎利子よ (2), 亦復如是 (2), 色即是空 (2), 空即是色 (2), 色不異空 (2), 空不異色 (2), 照見五蘊皆空 (2), 度一切苦厄 (2), 覚めよ (2), 丹波の少将成経 (2), 早く御覧なさい (2), copyright, all, rights, reserved, powered, fc2ブログ, fc2ad, qrコード, この人とブロともになる, ブロとも申請フォーム, このブログをリンクに追加する, 管理画面, ミルキーボックス, バイナルグラフィックス, 製作ブログ, ふぉと山の歌, 美景礼賛, history, factoryバックヤード, けyのお茶日記, human, ティブロンの独り言, トラウマ, hobby, 39からのブログ, 子育てブログ, ハレルヤ, こだわりのない日記, 刺し子, 刺しゅう, 暮らしの記, 四季フォトノート, 彗星絵具箱, keep, calm, and, warble, 救世主のうめ子さん, 和ちゃんの八ヶ岳高原ジョイフルライフ, 芸能エンタメ最新ニュース, カンパネラの日々手づくり, カラスの足跡, climb_again, こんな自分が適応障害に, 感銘を受けたシルバーバーチの霊訓, 心でしかよく見えない, しんすけブログ, 子ども達の未来と重ならない分, これでいいのーかな, 四つ葉のクローバー, みいつけた, むなかたコーチの頭の中, まん丸, メジャーへの道, ほろよい, りゅうじの, サクッとお山歩, 本くらべ, 覚え書き, 振り返りの多いこと, バァさんの言いたい放題, にゃおそふとプライベート, シニア散歩, とちぎけん登山あれこれ, 多肉うきうき, life, daisuke, 東村フォト日記帳, digiphoto, diary, chibi, east, village, 差別と歴史上の人物, 散歩のお供はカメラを持って, 由布院散策, 看板デザイン, 施工まで, アップル美術工芸, 介護日記, おとんナウ, ゴールデンレトリバー5頭とパパ, くみさとのほんわか日記, wish, 洋楽歌詞和訳, 気ままでごめん, 株式情報市場, うだうだうさぎの極楽日記シーズン2, 鉛筆語り, アトンのぶろぐ, ライフ, うたかた, 乙女台地の恵み, オイラはとら次郎, うさぎコーポレーション, いとはんのセカンドライフ, 裏山のさんぽ, オヤジの徒然草, コーギーのゆき, etude, 親バカ万歳season2, いぬのえ工房familia, いなけん, 山梨大稲田研究室, anthony, cafe, 空き瓶, アメコカリキの世界, 青と緑の絵もよう, 朝からわんこ, pace, パーチェ, 熱海のソカロ, 子ども達の未来と重なる分, 日本を福祉国家に, 太陽は夜も輝いている, 玉葱むいても, 川流桃桜の日々の呟き, ユートピアの夢, エロス, タナトス, 子ども達の未来のために, 葉梨愛ツイッター的ブログ, 光と影, 夜と昼, エロースとプシュケー, 愛と真実, 日本人の縄文思想と稲作のルーツ, 酔いどれるん, 真実への旅, 戦争と平和, 真実の日本史, 漫画とアニメの持つ力, リンク, 最新コメントのrss, 最近記事のrss, rssリンクの表示, 検索フォーム, 213, 月別アーカイブ, のんきな父さん, 天皇と政府のためなら国民は滅私奉公すべきなのか, 田貫尾矢治, 豪華な晩餐と母の涙, weeping, red, ogre, 泣いた赤鬼, 最新コメント, 最新記事, author, せっせと税金を払った人が老いてしまったら, 福祉もカットで死ねと言う, 若者たちは奨学金ローンで, 死ぬまで借金まみれにされる, お先真っ暗, 人口減少, 十代の死亡原因トップは自殺になって, 実質賃金下がっているのに, 大企業の内部留保は増える一方, おかしいんじゃない, 今の与党は, 疑問に思った事を投稿します, プロフィール, 次のページ, 独裁者, 軍国主義者, 差別主義者, 強姦魔, 殺人教唆の凶悪犯, 武器商人, 反戦平和主義者を弾圧した者, 戦争に賛同した者達など, 残酷な人間の末路は悲惨である, 自分が不幸にした人々, 命を奪った人々が一人残らず救われ, 自らの罪を最後の一つに至るまで償い尽くすまでは, 決して地獄の闇から解放される事はない, いかなる供養も祈りも呪文も儀式も, 教祖への多額のお布施も, 神として奉る事も, 偽りも真実の隠蔽も証拠隠滅も, これら最悪の犯罪者を救う事はできない, ヒトラー, ムッソリーニ, 昭和天皇その他は無間地獄でもだえ苦しんでいるが, 靖国神社に神として祀られている戦争犯罪人も, 同じ無間地獄にいる, 地獄に落ちる戦争犯罪人, も昭和天皇やヒトラー同様, を繰り返し, 30万人の軍人と, 15万人の民間人が死に, この数は, 軍事的に弱く軍備も不十分であったため, イタリアは比較的早期に敗戦を認めて降伏したおかげで, 日本やドイツに比べると犠牲になった国民の数ははるかに少ない, 敗戦した時, イタリア市民は多くの国民を, によって死なせた, ムッソリーニに激しい憎しみを燃やし, ムッソリーニとその妻は市民に撲殺され, 死体は針金で逆さづりにして晒された, 最後まで軍国主義独裁者である天皇やヒトラーに, であり, 何の批判もせず奴隷のように従い続けた日本人やドイツ人は, 敗戦の色が濃厚になってもなお降伏せず, その結果, ドイツも日本も, 大都市圏は徹底的に破壊されて瓦礫の山の廃墟と化し, 愚かにも最後まで降伏しなかった日本は二度までも原爆を投下され, 未曽有の大惨事, 文字通り地上の地獄を経験する事になり, 弱小国家であったイタリアよりもはるかに多くの犠牲者を出すに至っている, は日本の核武装を主張し, 平和憲法抹殺を画策しているが, 実際に戦争になった場合, 平和と友好を捨てて好戦的であればあるほど, より強力に武装すればするほど, より激しい抵抗に遭い報復され, 軍備が少ない国家よりもはるかに多くの死傷者を出す事が, 以上の歴史的事実によって証明されている, 安倍晋三と石破と与党と右翼, 創価学会の池田大作, 幸福実現党の大川隆法, 達は自己保身のために, 全国民が死に尽くすまで戦争を強行しようとした, 全人口の1, 45万人が犠牲になった, 侵略戦争, イタリアの独裁者, ファシスト党のムッソリーニ, を頂点とする, であった日本では, 侵略戦争の結果, 230万人もの兵士, 130万人以上の民間人が死んだ, 合計では, となり, 日本では20人に一人が戦争の犠牲になった, その数の十倍, 二十倍を超える数の人々が, 戦争によって, になり, 二度と再びまともに働けない体にされている, 同時に, この中には, 日本軍によって強姦, 虐殺されたが, 同様に, 一家皆殺しによる口封じ, 当時の公文書の隠蔽, 証拠隠滅などによって隠された大量の犠牲者の数, 日本軍の侵略戦争と財産の横領その他によって, 貧困や飢えによって亡くなった人々の数は含まれていない, 朝鮮半島出身の人々も, 安倍晋三が死ぬまで国民をタダ働きさせようとしているのと全く同様に, 当時の日本政府によって強制労働を強いられ, あるいは徴兵され戦闘を強制されて大量に亡くなったが, その不幸な人々の数も含まれていない, 安倍晋三と与党と右翼, 日本の軍国主義独裁者と軍部により, 1600万人もの中国の人々が虐殺され, 50万人もの朝鮮半島の人々が惨殺された, 身体障害者, 全国民の5, 360万人, 軍国主義独裁国家, 昭和天皇, 600万人以上のユダヤの人々が, 近隣へのバッシングと差別主義を主張する, により虐殺された, ドイツの, による人種政策により, ロマ人へのポライモス, 成人精神障害者へのt4作戦, 反社会分子とされた人々, 労働忌避者, 浮浪者, シンティ, ロマ人など, や障害者, 同性愛者, スラヴの人々も犠牲になった, これら全てを合計すると, ヒトラーという, になる, 犠牲者は決して外国人や異民族だけではない, 安倍晋三と右翼同様に, ヒトラーの, により, ドイツの兵士, 550万人, 民間人, 350万人, この数は実に, にものぼる, 実に10人に一人の国民が, この残忍な軍国主義の右翼の犠牲になった, ヒトラーの言う, こそが, これほどまでの膨大な国民の死をもたらした, で死ぬのは権力者や与党政治家, 右翼団体や軍国主義者ではない, 犠牲になるのは無辜の国民であり, である民主主義国家では, などただの一度も存在しなかったし, これからも永遠に存在しない, 防衛のための戦争, 全国民の10, 900万人が死んだ, 軍国主義独裁者の右翼による犠牲者数は, 約1000万人, 差別主義, 軍国主義独裁者ヒトラーとナチス党, 以下はブログ, からお借りしました, エフェソスの追憶, 地獄に落ちた悪魔達, どうか私の怒りと憎悪, この終わりのない恐怖からお救いくださいませ, どうかこの地獄から助けてくださいませ, 敵も味方も刺し違え, また切り払う紅蓮の炎は, かえって剣の雨となり, 春日野の草薙, くさなぎ, むらくも, の剣もかくやと見えて, 無数に飛ぶ火の舞う中に, 山河を動かす修羅地獄, 戦争地獄の無限の苦悩も度重なって, 亡霊はついに絶望のあまり, 悲愴な思いで僧を振り向き, 狂ったように絶叫した, 氷の刃, やいば, の切っ先を磨き上げたのは, 見よ一刀の剣, つるぎ, 野守が水を照らすと見えたのは, まことは鏡に映る我が胸の, 消すに消せない怒りの炎, 焼き狩りかと見えたのは, 武蔵野を焼いた戦火の影, 果てしない修羅地獄の夜の戦闘は, 業火と燃える激情の夜が明けてしまえば, 何という浅ましい有様か, 浅間山に激しく燃え盛る, 憎悪と怒りの紅蓮, ぐれん, 今行くぞ, 行ってやるぞ, 地獄の夜の戦闘に, 亡霊は恐怖と憎悪, 煮えたぎる怒りをむき出しに, 狂気のように叫んだ, 誰かあれを追い払え, 春日野の野守はいないのか, 出てきて見るがいい, さあ早く出てきて見てみろ, 亡霊はわなわなと身を震わせた, また戦争地獄の時になったから, あの春日野に火を灯すのだな, 他国に戦争が勃発し, 多くの軍隊があの春日野に野営した, 夜な夜な灯すかがり火の松明の火が動くのがまるで飛ぶようだからと, 飛火野, とここを名付けた, うめくように亡霊が答えた, 確かに飛ぶ火のことは噂に聞いているけれども, 何のための飛ぶ火だろう, おびただしい炎はいっそう怪しく揺れて, いぶかしげに僧がつぶやいた, あれこそ例の有名な, かすが, の野守の飛ぶ火です, 食い入るように揺らめく炎を見据えながら亡霊が答えた, 確かに見れば東のあたりに, ともしび, が無数に見えている, あれはどういう灯火なのだろう, 叫ぶように指さす方を見て, 僧も愕然としてつぶやいた, あれを御覧なさい, 旅人よ, 恨めしい, たまたまこの現世の夜に立ち返り, 心を澄ませている所に, また憎しみと怒りが燃え上がる, けれどもその時, 亡霊は, まざまざと憎悪と苦悶の色をあらわにして, じっと遠くの山を見た, この重衡の妄執, もうしゅう, 迷いと執念, をお救い下さいませ, それから僧を振り向いて, また深々と一礼しながら合掌した, もう月も山に入る, 月の光は清らかな西の空に至ったけれども, 私の心はなおこの木の下に残り, この現世の奈良坂に帰ってきた, この私には, 心休まる安らぎの場所, みかさ, の森の花の台, はこれなのだろう, そうつぶやいて亡霊は, 再び西の月を見て, それから古びた卒塔婆を眺めた, ただ一度でも阿弥陀如来を心に思うなら, 無限の罪も滅し去られよう, そんな言葉を承ると, ただ今御唱えになった声を通して, 私もこのまま涼やかな安らぎの道に入れそうな気がする, そうつぶやくと亡霊は, じっと僧の祈りに耳を傾けた, 私の心中を神仏も御覧あれ, この私の心には一点の曇りもない, 今はただ, ひたすら尊い御仏と, その慈悲の教えと, それを教える人々の境地を受け入れる心でおります, この世に生を受けた者のうち, まともな人間であるならば, 誰が目上の者や父の命令に背けましょう, 子は親を敬い従わねばならない, という道徳, 人の道, 世の理, ことわり, に適った必然的行為であり, 私はただ命令を果たしただけでした, 私はただの一度も親に逆らったことがありません, 一度たりとも親不孝をしたことがありません, 私の全ての行いは, 私が数多くの老若男女を死なせ, 尊い慈悲と憐れみの記念碑たる大仏並びに寺院を焼き払うという最悪の罪を犯しましたのも, 私の本意ではなく全て戦争のために起きた事でした, 決して愚かな堤婆達多のように自らの意志でやった事ではなく, 歴史の流れ, 世の常識や法に忠実に従ったまででございます, 罪業はまことに深いけれども, 御仏の教えと出会ったという善い条件により, はるかな遠い未来においては, かえってそれが覚りを得る原因になり得るだろう, と申します, ついには貴い御仏の教えを記した文献を, 数え切れない程焼き捨て滅した悪意の権化であったけれども, 天王如来の予言によれば, 伝え聞く所によると, お釈迦様を迫害し尽くし, むげん, 地獄に落ちた堤婆達多, だいばだった, 存命中には心の清い人々の和合をかき乱し, 慈悲深い人々の血を流し, 自らの人格を磨く修業者を殺害したとのこと, 私は御仏に近寄って合掌し, 阿弥陀仏に向かって丁重に申し上げた, その時知時が, 着ていた直垂, ひたたれ, の袖のくくりを解き, 仏の御手に掛け, この私, 中将重衡に渡してくれた, おやすい御用だ, あたりにあった木の仏像を一体, 向かい合わせに河原の砂に据え置いた, 見ればその仏像は, 幸いにも死者を憐れみ迎え給う阿弥陀仏であられた, 出来ることなら最後の時に, 御仏を拝みたい, と言うと, おい重衡, 知時が参りましたぞ, と声を掛けた, 日頃のなじみだったから来てくれたのが嬉しくて, 近藤左衛門の尉知時, じょうともとき, という者が, 私の最後を見届けようとして, 貴賤の人々が取り囲む中をかき分けかき分けやってきて, 私は一の谷で生け捕られ, 京から鎌倉へと護送される所だったが, 南都奈良の激しい訴訟によって, あの木津川で斬られようとした, 重衡はそこで言葉を切って旅の僧に合掌したが, やがてまた, 独り言のように語り出した, 皆の者, 聞くがよい, 私は軍人として武人として, 地上の最高権力の座にあった, また私は高貴なる一族として名を知られた者, この私の暗い心の雲も晴れ行く思いがする, どこまでも晴れ行くこの月の夜の, みのり, 仏の教えた真理, の声のありがたさよ, 亡霊は豪然と呼びかけた, 折から上った夜空の月が, 冷たい銀の光を投げかけていた, かつてこの奈良坂で, 一門の最高位にあるものとして, 私は弓矢をこの手に取った, 私は地上の支配者であり, この世は私のものだった, 私は地上の神だった, 数え切れないほどの一族郎等も知らぬ者とてなく, 彼等は地上の神たる私の民だった, 亡霊はしばらくうなだれていたけれども, それでもやがて顔を上げ, かすかに苦悶の表情を残しながらも, 誇らしげに胸を張った, この世が恋しい, それは帝の御歌だった, 私はもとより数ならぬ身, みすぼらしい衣を身にまとい, たとえ春が訪れても, 豊かさとはおよそ無縁の修羅地獄の責め苦に苦しみ続けている, 春は忘れず花は咲きけり, なりにし奈良の都路も, ふるさと, よほどしばらく経った頃, どこか知らない遠くの方から, つぶやくような声がした, 旅僧がハッと目を上げると, すぐそばに一人の武装した武者が立っているのだった, 後に残った旅の僧は, 夢のような出来事をいぶかりながらも, 先ほどの老人の願いの通り, 仮の枕をしつらえて, 傾く月の夜もすがら, あの重衡の亡き跡を, ただ通りすがりの縁ながら, 真心込めて供養した, そうつぶやいて老人は, 笠卒塔婆のあたりに咲いた花の蔭に隠れて, そのまま姿を消してしまった, これもまた笠卒塔婆, 惨めな私の影を隠してくれる, 老人は背後の卒塔婆, を振り向いた, お情深い御方が来てくださったと, 夕べの月も光を投げかけている, あれは三笠山だ, いつしか月が昇ってきた, 老人は空を見上げてつぶやいた, その重衡の幽霊です, 私の表面意識はこの世を去りましたが, 衰え果てた潜在意識は, 白髪も霜さながらの老人と見えておりましょう, これが今の私です, さまよ, う心が参りました, 不審に思っていると老人が口を開いた, ではその御姿は, これはいつの時代に生きた人だろう, それを聞いて旅の僧はハッとして振り返り, まじまじと老人を見つめた, お恥ずかしい, はかない露の身なのに今なお消えてしまうことも出来ずにいる, この惨めな死後の姿でお会いしようとは, 何と悲しいことでしょう, 跡を訪ねてくれる人さえいないから, 春の草がこんなにも生い茂って, 墓跡も蔭に隠れてしまっている, それを聞くと, 何とも言えない悲しい目をして老人がつぶやいた, では御跡をお弔い致しましょう, そういうことでしたか, 平重衡, たいらのしげひら, その名を聞くのもおいたわしい, 旅僧は深い憐れみのまなざしで答えた, 夕べには白骨となって荒れ野原に朽ち果て, 木津川の波と消えてしまった哀れな跡でございます, あした, に紅顔の若やぎをもって我が世の春を謳歌しようとも, あれほどの栄華の門を構え, 一族全てが栄耀栄華を連ねた身でしたが, 人間というものは, ある時には栄えても, またある時には衰えると申します, そうした世の定めを目の当たりにする有様でした, 老人は遠い目をして暮れ行く空を見た, 重衡は一の谷で生け捕られ, 関東に護送されるはずでしたが, 彼が以前焼き払った南都奈良の訴訟の声が激しかったので, あの木津川で処刑されました, 老人はかすかにうなずいた, 重衡はこの場所でお亡くなりでしたか, を御回向してください, 回向するのはたやすいことですが, どなたへの御回向でございますか, 老人の指さす方を見ると, そこには茫々と雑草が生い茂った荒れ果てた墓があった, 卒塔婆, もすっかり朽ち果てて, 書かれていた文字も判読できなかった, この墓跡に向い, 回向をしてお行きなされ, そう言って一礼すると, 何を思ったか老人が声を掛けた, それではこれで失礼致します, やがて旅僧が振り向いた, 二人は今を盛りと咲き誇る桜の花と, それとは全く対照的な, 古色蒼然たる仏閣が彩る暮れ行く古都の景観を, しばらく黙って眺めていた, 美しい, 八重桜木の麗しさ, 春に帰って花盛り, 滅びた奈良の都路も, いにしえに, 老人はしばらくじっと押し黙ったままだったが, やがてまた落ち着きを取り戻し, 夕陽に染まるあたりの風景を眺めた, それにしても, あの有名な死を告げる鐘の音はこれかと思えば, 夕暮れも寒々として, 何と荒涼たる景色だろう, 老人はぞっと身震いした, 今日はまだ命があるかも知れないが, 明日には失われてしまうかも知れない, そう告げ渡る飛鳥の寺の夜の鐘, 罪深い者達に, 逃れ得ぬ死と, 永遠にも等しい死後の呵責, かしゃく, 責めさいなまれること, の苦しみを告げ知らせるために, 地獄の使者が撞, いているという, 恐ろしい, ちょうどそのあたりから, はるかに鐘の音が響いてきた, 老人ははっと目を上げて, 独り言のようにつぶやいた, ではなお遠くに見えるのは, あれは春日の御倫旨, りんじ, 帝の勅語, の使いに行かれた際, 中将在原業平, ありわらのなりひら, が御建立された, 勤業の声も途絶えぬ不退寺だよ, ではそのはずれに連なるのは, 法相流布, ほっそうるふ, 法相は人間の本質, の興福寺, 山科寺, やましなでら, それでは, 南の方に見える寺の名は, あれはその昔, 唐の霊光法師が作られた, 十二面の仏像二体が納められている, 法華寺, ほっけじ, という尼寺です, 人々が衣を干す佐保の川の, 流れに続くあの寺は, 春の柳よ, 西の大寺の柳を詠まれたということが書き記されておりますが, その西大寺です, 玉を貫く, 糸撚り掛けて白露の, あれは僧上遍昭, へんじょう, の歌に, ここから西の方角の塔婆の見えるお寺は, 何という寺ですか, あれこそは三国無双の大伽藍, だいがらん, 東大寺の大仏ですよ, ではまずここから東の方に大きなお寺が見えますが, あれは有名な大仏殿ですか, 言われて旅僧はあたりを見回した, 見渡す限りどの仏閣でもお尋ねなさいませ, ざっと御教え致しましょう, 私共は明け暮れ見慣れておりますが, この奈良坂に上がって見ると, やはり目を見張らずにはおられません, 初めて御覧になられたのでしたら, さぞかし驚かれたことだろうと存じます, すると老人はうなずいた, 私はこの場所を初めて訪ねた者ですが, 見事な仏閣の数々は, 目を見張るばかりの有様です, 何でございますか, 聞いて老人は顔を上げた, お尋ねしたいことがございます, 老人の姿に気付いて旅僧は声を掛けた, 春の日の影もろともに, 遅い歩みでとぼとぼたどりゆく, やがて程なく老人は, 通いなれたこの奈良坂の, 花の木陰にたどり着いた, 遠くの方から弱々しいさえずりが聞こえてくる, 老いたウグイスは声も衰えて, 身体の色もくすんで消えかけている, その衰え果てた哀れな姿を見ると, 本当に身に積まされる思いがする, 老人は深く嘆息し, 再び歩き始めた, 人間万事塞翁, さいおう, 人生の幸不幸は連続していて, 幸福だけ, 不幸だけが訪れるものではないという格言, 喜びも苦しみも, この大いなる宇宙の法則から逸脱したものでは決して無い, この世のいかなるものが, この神仏の法則から外れるものたり得るだろう, この世でも後の世でも, 神仏の法は変ることがない, そうつぶやくと老人は, 遠い目をして空を見た, つくづく起請, きせい, 高位の貴族による指令, 転じて神仏の意志, を喜ぶが, これはただ, それぞれの思いと言動の当然の結果だったのだ, 自らの悪行が苦しみを, 善行が喜びをもたらした, 現在の結果は, ただ一つの例外もなく, 原因があって生じたもの, 様々な境遇に生まれ変わり, 様々な苦楽, 悪事も善行も全て経験して初めて, 人は忍耐や他者への憐れみを知るのだろう, 林野に花を供, きょう, ずる天人は, 泣く泣く前生の業を恨み, 寒林に骨を打つ霊鬼は, 柳は風に翻弄されてようやく緑満ち足りる, 花は雨が過ぎて紅, くれない, なお勝り, 老人はしばし立ち止まり, 物思いにふけりながら古い詩の一節をつぶやいた, 老いぼれには苦しい坂だけれども, この苦しい老いの坂も, ほどなく越えられることだろう, 老いの苦しみもじき終るだろう, 旅の僧が奈良の都に着いた頃, 一人の老人が奈良坂にさしかかっていた, 都からまた旅だって井出の里を通り, 今日は三日ノ原, みかのはら, を通過した, 泉川の河風は静かに流れ, かすむ春の空をのどかに日が巡り, こここそかつての南の都, はやくも奈良坂に到着したのだった, この僧は諸国行脚の修行僧である, 彼はこのあいだ京の都に上り, 洛陽の寺社を参拝してきたところだった, またこれから南の都, 奈良の七堂にお参りするつもりだった, 旅姿の僧は, どこまでも果てしなく広がるうららかな新緑を眺めてつぶやいた, それは希望の季節, 希望を心の道標, みちしるべ, にして, 憂いのない旅に出かけよう, 闇の底, イスラエルの軍人たちに, 血まみれになるほど殴られ暴力を振るわれたパレスティナの少年, アメリカはイスラエルを支援し, 日本もアメリカとイスラエルを支持し, 安倍晋三はアメリカのユダヤ人カジノ王のためにカジノ法案を強行採決した, 売春宿の子供達, 奴隷として商品として, 日本の暴力団のような犯罪グループの資金源として, されている, こうした人間の屑の, 女性の性搾取や性犯罪, 児童売買や児童買春を継続させている, 安倍の御用ジャーナリスト山口敬之と, 親友である右翼の作家, 百田尚樹, 薬物強, 誘拐され販売されるはずだったが, 奇跡的に救出され再会を果たした母子, マフィア, ギャング団, 暴力団, 人身売買組織, 時には実の両親によって, 乞食として稼ぐため, 健康な手足を切断された子供達が現代にも無数に存在することをご存知だろうか, トルコのクルド人, ミャンマーのロヒンギャ族, 日本の在日朝鮮人など, 少数民族は常に迫害され差別され, 戦時下や有事の折にはさらに残酷な暴力を受け, 虐殺なども日常茶飯事になる, 臓器売買, 東南アジアでは普通に行われ, 日本の暴力団も関与している, 吉原の芸者, 現実には売春婦であり, 多くは貧しい農村から売り飛ばされてきた十代の少女だった, 劣悪で残酷な環境で, この不幸な女性達は性病や結核に犯され, 20代で死ぬ者も稀ではなかった, 暴力団が経営する現代日本のアダルト, ビデオ業界や性風俗店でも, 同じように強姦や性病の蔓延, 女性の性奴隷化が起きている, 今の日本でもこの体たらくであるのに, 戦争中に日本が侵略, 植民地支配していた国々で女性の性搾取や強姦が起きなかったと主張する安倍晋三や与党といった右翼勢力の見解はあまりにもバカげている, 彼らの, 当時の戦争犯罪の, に過ぎない, たった今, 日本の与党が実行している独裁政治や悪事の証拠隠滅, 公文書偽造などの隠蔽工作, 不正な裁判や国民の人権の蹂躙や数々の憲法違反を見れば, 安倍と与党と右翼とが, 卑劣な隠蔽主義, 恥知らずの嘘つき, 良心の欠片もない人間の屑であり, 安倍の祖父のような戦争犯罪人も, 同じ事を実行していた人間の屑であることが容易に理解される, 隠蔽主義, 歴史修正主義, 保護された子供達, 波は寄せては岸をどうと打ち, 雨雲は空をさまよい流れ, 空をさまよう雷が, ドドンドドンと鳴る時は, 降り来る雨はハラハラと, 小笹の竹と一緒に簓を摩る, 冷たい池の氷でも, 解ければ心楽しく鳴るだろう, 鼓をまた打ち, ささらをなお擦り, ざれ事ながら, これも仏法修行の道, 今は救いの彼岸に到り, 岸に寄せ来る舟の内より, 居士はテントンと手を打ちながら, ついに娘と連れ立って, 共に都に上っていった, 共に都に上っていったのだった, もとより鼓, はないけれど, 私の鼓は波の音, 居士はうなずき, せっかくだから鼓, も打って見せて下さい, そう言って娘を解き放ち, 少しばかり名残惜しそうに, 手を擦り合わせてなどと, そこまでおっしゃるのなら, 差し上げましょう, 人買いも今はもう何の遺恨, いこん, もなく, 言葉とともに居士は手を合わす, 今は助けて下さいませ, 手を擦り合わせお願いしよう, 数珠でするなら簓より, さらりさらりと簓の真似を, 滋賀辛崎の松の落葉を, 笹波の, さざ波の, さざ波は滋賀の枕詞, 所は滋賀の浦だから, 簓の軸には百八の数珠, 簓の竹には扇の骨, これを取り上げ合せ擦る, そもそも簓, の起りをたずねれば, 東山にいたある僧が, 扇の上に散りかかった秋の木の葉を, 手にした数珠でさらりさらりと払ったことから, 簓という事が始まった, そして再び青年は, 数珠と扇を取り出して, 身振りよろしく歌い出した, 釈迦如来が難行苦行し給うたのも, 一切の衆生を助けるためだった, 今こうして心を砕き身を砕くのも, あの者を助けるためである, 心に恥じることはない, そして心中思うには, 構いません, 青年は快くうなずいた, あいにく船中には竹がありませんが, それなら竹を下さいませ, せっかくだから, ついでにささら簓, 古代のマラカス, って見せて下さい, これはまた何ともったいない, 我らの舟まで龍頭鷁首とお祝い下さろうとは, 全く過分に存じます, 見事な舞と歌だった, 船乗りは旅の無事を願って縁起をかつぐ, 船の由来を述べて祝福する居士の歌を聞き, 人買い商人も怒りを忘れ, すっかり喜んで言った, さてまた天子の御舟を龍舸, りょうが, と名付け奉り, 舟を一葉と数えることも, この御代, から始まった, また貴い方の御舟の類をも, 龍頭鷁首, りょうとうげきしゅ, 本来天子の乗る舟をこう呼んだ, と申すのも, この御代より起ったことである, だから今なお舩, の字を, 公に舟, むと書くのである, 黄帝はこれに乗り烏江を漕ぎ渡り, 蚩尤をたやすく滅ぼして, ついに天下を治められ, 一万八千才に到ったと言う, これだ, と思い立ち, 工夫を重ね舟を作った, ある時, 貸秋は庭の池の面を眺めていた, 折しも頃は秋の末, 木枯らしに散ったのか, 柳の一葉, ひとは, が水に浮いていた, そこへ蜘蛛が一匹, これまた虚空より落ちて来て, その一葉, いちよう, の上に乗り, ひどく頼りない姿ではあったけれども, 次第次第にそのクモが, 吹き来る嵐に誘われて, 立ちこめた秋霧もろともに, ついに汀に吹き寄せられた, このクモの振舞いを見て智将貸秋は, 当時ここには, しゆう, という名の謀反人が居た, 黄帝は彼の者を滅ぼそうとなされたが, うこう, という海に隔てられ, 攻める術すらなかった折り, 黄帝の臣下の一人に, 貸秋という兵士があった, そもそも舟の起りをたずねれば, その水上は中国は, こうてい, の御代より起り, 流れの元をたどってみれば, かてき, はかりごと, より生まれ出たものである, そして居士は軽やかに舞った, ひとしきり舞ってしまうと, 今度は朗々と歌いながら, 再び居士は舞い出した, 連れもない, 滋賀辛崎の一つ松, つれない人の心だな, そう言って舟を岸に着けると, 居士も人買いも一緒に岸辺に降り立った, ちょうどここは, 滋賀県は琵琶湖の湖岸であったから, 人買いの打つ手拍子に合わせ, 居士は歌うように言った, 何のつれないことがあるものか, 人買いは笑った, なるほどわかった, 最後はこの者を下さるおつもりなのでしょうが, ただ返すのは悔しいから, この居士をいろいろなぶって恥をかかせようということですな, あまりにそれはつれないなさりようです, 青年はこれを聞き, こう言ってあざけるように笑いながら, みすぼらしい烏帽子を差し出した, ここに烏帽子があります, これをお着けになって舞いなされ, それはそれ, まず舞を見てみて, その時と次第によっては差し上げましょう, からかうように人買いは答えた, 舞を舞って御目にかけましたら, この者を下さいますのでしょうか, それはざれ事でしたことですが, それもまた仏道修行の一つですから, そのようなこともあったでしょう, さあ聴衆の眠りを覚まそう, とおっしゃって, 高座の上で一さし舞われたというお噂は, 陸奥までも知れ渡っております, ぜひ一さし舞って見せて下され, それは嘘をおっしゃっておいでです, 一年前, 今のように説法をしておいでになった時, けれども人買いは首を振った, それは何かの間違いです, およそ私は, 舞など舞ったことはありませんが, けげんな顔で居士は答えた, 今度初めて都へ上ったけれども, 自然居士は舞がお上手だと以前から承っております, ぜひ一さし舞ってお見せください, とのことです, それはともかく, ここにいる人が申しますには, ちっとも直ってはおりませんぞ, 人買いはわざと怒ったように, けれども少しからかうように, 船頭さんのお顔の色がすっかり直りました, 青年はほっとしたように言った, なあ自然居士, 早く舟から上がりなされ, そう事が決まると, 人買いは居士の所に戻って来た, もっとも, 私共もそうは思いますけれども, ただ返すのではあんまり腹が立ちますから散々になぶってやって, その後に返すことにしましょう, 相手もくやしそうに肩をすくめて見せた, 考えてもみなされ, おうしゅう, からわざわざ都に上った人買い商人ともあろうものが, 人を買いそこなって自然居士などという役にも立たない説教坊主を買い取って下っていった, などということになっては一大事, いい人の笑い者になる, 相手はすっかり考え込んでしまった, そのあげく言った, これはどうしたものでしょうか, 男はかいつまんでことの次第を告げ, 困り切ってたずねた, これは何の騒ぎですか, そこにおいでですか, そうつぶやいて仕方なく仲間の所に相談に行った, いやこの自然居士には全く困ったもんだ, 人買いはすっかり居士をもてあまし, もちろんそのつもりです, 何だと, 殺されても決して舟を降りないと言うのか, 人買いは目を丸くした, たとえ命を取られようとも, 決して舟は降りるまい, それでも青年はきっぱりと言い放った, 命を取るぞ, 人買いは恐ろしい顔をした, 痛い目に会うのも捨て身の行のうち, 青年は動じる色もなく, まっすぐ人買いの目を見据え, 舟をお降りにならないおつもりなら, 半殺しの痛い目に会いますぞ, 人買いはまた怒り出した, こちらの掟も破られるわけには参りません, となれば, たとえこの子と一緒に陸奥, みちのく, の国へ下ることになったとしても, この舟からは決して降りますまい, よくわかりました, 我らの仲間内にも厳重な掟がございます, このように自ら我が身を捨てようとする者に行き会った時, もしその者を助けられないならば, 二度と再び庵室へ帰ってはならないという掟ですから, こうなった以上, そちらの掟をも破りますまい, 青年は落ち着いてうなずいた, 我らの仲間内には厳しい掟がございましてな, それが何かと申しますと, 一旦人を買い取ったら, 二度と再び返してはならぬという掟ですので, 差し上げるわけには参りません, 何でしょうか, 差し上げたいのはやまやまですが, 実は困ったことがあります, 何を思ったのかニヤニヤして互いに顔を見合わせた, どうかこの子を下さいませ, 小袖をお受け取りになった以上は, この子はお返し下さいますのでしょう, 青年はまじめな顔で言った, おいおい, いい加減に舟から降りなされ, 人買いはもてあましたように言った, ああかわいそうな子だ, 連れて帰ってやるぞ, もう安心しなさい, このぐらいで何で死ぬものか, その言葉に, 居士が急いで駆け寄り娘を引き起こしてみると, 身には縄, 口には綿の猿ぐつわをはめてあり, 泣けども声の出ようはずもない, 打たれても声が出ないとは, まさか死んでしまったのか, 娘の身を案ずると, 人買いは吐き捨てるように, こんなことになったのも貴様のせいだ, でもって娘をさんざんに打つ, 娘は声も立てずにされるがまま, これはいかんと青年は, このすきに強引に舟に乗り込んで, ああ腹が立つ, とは言うけれども, 相手は僧侶, 僧形の衣を恐れ打つのもならず, この有様に, 人買いは舌打ちして苛立ちながら, 声を荒げて, 舟と離れてはならない, 濡れるのもお構いなしにザブザブ湖に踏み込むと, 裳裾を波に浸しながら, 舟端をつかんで引き止める, 言葉と共に青年は, 小袖を男に投げ返し, とにかくさっきの小袖はお返しする, 説法では物の道理を教えなさるはず, 我らに落度はないはずだが, 人買いは首をかしげた, 私は自然居士という説教者ですが, 説法の場を台なしにされた恨み言を申しに参りました, それにしても何の御用ですか, まったく面白いことをおっしゃるものだわい, 聞いて舟の男は笑った, 水面に煙る霞, かすみ, のことを, ひと霞ふた霞, 息もひと息ふた息などと申します, 今初めて櫂を入れて漕ぎ出した舟だから, ひと櫂舟と言ったまで, それが間違いでしょうか, 居士はまじめくさって言い返した, には唐櫓, からろ, というものがあるけれども, などという櫂はないが, 人買いはこれを聞き, 今度は変な顔をした, と申しましたのは, その舟を漕ぐ櫂, の事ですよ, 声が高い, とおっしゃるのももっともだ, もっとももっとも, 他にも人が聞いているかも知れない, ああ声が高い, 何だ何だ, 聞いた人買いは思わず顔をしかめた, その人買い舟に申し上げたいことがございます, 青年はさりげなく答えた, この舟を何の舟だと思っておられるのかな, そのお舟の方に申し上げたいことがございます, 私も別に旅人ではないから, 渡し舟とは言っておりません, これは山田や矢橋の渡し舟でもないのに, どうして呼び止めなさるのか, 奴隷商人は艪, から手をはなし, けげんな顔で振り向いた, そこのお舟に申し上げたいことがある, そう一心に念じながら道を急いだ甲斐なのか, 若者の健脚が勝, っていたのか, やがて青年の眼前に, どこまでも広がる青い湖と, 奴隷商人の船が現れた, 青年はやっと少しほっとして足をゆるめ, 静かに呼吸を調えた, それから扇を広げて手招きしながら, 舟に向かって呼びかけた, どうか間に合ってくれ, もしも心があるならば, 御仏が説かれた人の道に心を止めて, どうか思い留まってくれ, こちらには船がない, 急がないと間に合わない, 青年は必死で走った, くだんの奴隷商人は, すでに琵琶湖の湖畔にたどりつき, 今にも船出しようとしていた, 船着き場へは一本道だが, 一旦船出してしまえば, もう何処へ行くのか知れたものではない, さざ波は音なく白く打ち寄せ, 一行は舟路に出ようと急いでいた, 驚く聴衆もそのままに, 居士は決然と人買いの後を追った, これも慈悲を行ずる仏道修行のため, この身を捨てて人を助けよう, 願わくばこの功徳をもってあまねく一切に及ぼし, 我等と衆生と, 共に仏道を成さん, 今日の説法はこれまで, そして青年は立ち上がった, 今の娘は善人, 奴隷商人は悪人, これほどまでに明白な善悪二つの道がありますか, 説法というものは, たとえ百日千日お聞きになられたとしても, 結局は善悪二つをわきまえ知るためのもの, けれども青年ははっきり首を横に振った, ですが今日は仏前で誓われた七日の説法の満願の日ではございませんか, ここで説法を止めてしまわれては, 今日までの御説法が無になってしまいます, 男は目を丸くした, あなたが行かれたぐらいではだめでしょう, 私がこの小袖を持って行って, 娘に代えて連れ帰りましょう, 居士はこれを制して言った, 奴隷商人なら東国へ下ってゆくでしょう, 松本へ私が走って行って引き止めましょう, やりきれない思いで門前の男が言った, だとすれば, 先程の者達は奴隷商人でしょう, 代価を払って正式に買った以上, 法律上はあちらに道理があり, こちらは無理を言っているだけですから, あなたが止めようとしても無駄でしょう, 私が察しますに, あの者は親の追善供養のために, 我が身を売ってこの小袖に代え, こうして差し出したものと思います, 嫌なことになりました, 初めからあの娘はわけありに見えました, その上, 追善の依頼をするにしても, とだけ書くでもなく, わざわざ, 我が身に代えて, と書いてありましたから, どうもおかしいとは思っておりました, 聞いて居士はまゆをひそめたが, 別段驚いた風もなく, 淡々と言った, そのわけがある, とすごまれましたので, つい渡してしまいました, 渡せない, と申しましたら, ただ今追善供養を申し出ました娘を, 荒くれ男が二人参りまして追い立てて行こうとしましたので, 何事ですか, 瞑目してただ一心に読経していた居士は目を開き, 落ち着いて尋ねた, 居士様, 申し上げます, 人買いは乱暴に少女を立たせると, 来た時と同じように平然と出て行った, 門前の男はあわただしく自然居士のもとに駆け寄りひざまずいた, わけがあるなら連れて行け, これには男もたじろいで, 仕方なく言った, 引っ込んでいろ, そのわけがあるんだ, 刀の柄に手をかけてすごんで見せた, 渡さんぞ, これを見とがめた門前の男が驚いて立ち上がり, 二人の間に割って入ろうとした, さっさと立て, 商人は人の間を縫って少女の所まで来ると, 力まかせに娘の背中を小突いて低い声で言った, 急いで連れて来て下さい, 思った通りだ, やっぱりここにいる, 大の男が二人がかりなら, どんな相手でもまず逃げられない, 警官やその筋の人々の常套手段である, 二人はそろって出かけてゆき, じきに雲居寺にたどり着いた, 娘は人ごみの中に混じって, じっと両手を合わせている, 相手も男もうなずいた, 昨日の小娘は親の追善供養だとか言っておりましたから, きっとどこぞの仏前にでも居るに違いない, ちょうど自然居士が雲居寺で仏前供養と説法をしておりますから, これから行って見てみましょう, そこにおられましたか, 今日になっても娘は帰らない, 商人はとうとう待ちかねて立ち上がり, 奥の間にいた仲間に声をかけた, この奴隷商人達は都で数多くの人を買い取った, 四ばかりの娘も買い取ったのだが, その娘が, 少しで構いませんからお暇を下さいませと願い出たので, そのくらいならと外へ出してやった, 昔も今も, この現実は何も変らない, およそこの世に, 真の弱者たる子供達の人権が守られる社会は, 過去においても存在しなかったし, 今も存在していない, 金持ちが天国に入るのは, ラクダが針の穴を通るより難しい, キリストの言ったこの言葉は, こんな人には多分事実だろう, 巨額の富を得て笑う人々の背後の闇に, 全てを奪われ絶望する人々の姿が見え隠れする, 彼等の末路はこの世の地獄, 逆らえば拷問, 虐待と暴力, 過酷な労働と残酷な扱い, それが彼等の日常である, なまじ美しければ男女を問わず身売りさせられ, そのあげく死病をうつされ, 人間扱いもされず, 苦しさの余り逃亡を計った者には, 死よりも酷, い虐待と拷問が待っている, 日常的な虐待により, 彼等は最後の気力も削ぎ取られ, かすかな希望もわずかな意志も, 一切を徹底的に踏みにじられ, 生ける屍に仕立て上げられる, ある者は貧しさのため, ある者は戦乱の世の中で, 実の親に売られ, あるいは誘拐されて売り買いされる, 今も昔も, 武器と同様, 奴隷の売買は金になる, 戦争の後には多数の孤児が現れる, いつの時代も, 不幸な娼婦や奴隷を欲しがる悪魔さながらの人が居て, 資本主義の理論によれば, 需要のある所に供給が生まれる, 腐った肉にハエがたかるように, 金の匂いのする所に金の亡者がたかる, 神は死んだ, と叫んだ狂人さながらに, 不幸な人から金を吸い取る腐敗した教祖同様に, 人間の良心さえ捨ててしまえば, 金を得るのは容易である, ちょうどその頃, ある暗い路地裏の一軒家では, 東国から都に上ってきた奴隷商人が, イライラしながら何かを待っていた, あちこちからすすり泣きや嗚咽の声がした, 数多く居合わせた聴衆も, 衣装はそれぞれ違っても, 不幸な娘を憐れみ, あるいは戦乱で失った自らの親兄弟や子を思い, 等しく袖を涙で濡らしていた, 肉親を失った娘のさびしさと悲哀, 絶望の苦さ, それがどんなに深く切ないものか, 読み上げた自然居士自身, 痛いほどよくわかっていた, 知らぬ間に涙が込み上げて, 青年は墨染め衣の袖で目を拭わずにはいられなかった, どれほど多くの老若男女が, 赤ん坊や妊婦や子供達が理不尽に命を失うか, それが戦争の現実である, 親を亡くし子を亡くし, 夫を亡くし妻を亡くし, 兄弟を亡くし姉妹を亡くし, 祖父母を亡くし乳飲み子を亡くし, 友を失い恋人を亡くす, 戦いを望む愚かな人々よ, この現実を知るが良い, ここ雲居寺の焼け跡に集った人々も, いずれも肉親や身内を戦火で失い, 死んだ者達の冥福を祈る生き残りの人々だった, この貧しい娘は親のため, 我が身に代えて衣を供養致します, この恨めしく, あまりに悲しい世の中を早く逃れ出て, 亡き父母と一緒に, 同じ極楽の花の台, に生まれとうございます, あのインドの貧しい女が, ただ一枚しかない服を僧に差し上げたのは, 我が身の後世の幸せを願ってのことでした, 青年はここで読むのを止めて, じっと娘の姿を見た, まだこんなに幼い身でありながら, 頼みの綱の両親を失ってしまった娘, 天涯孤独, この世でたった独りの孤児, かわいそうに, どんなに悲しい思いで今日まで生きてきたことだろう, それから青年は, また続きを読んでみた, どうかこの供養により, 私の両親の霊が速やかに成仏出来ますように, 安らぎを得られますように, そのために我が身に代えて, 粗末ではございますが, 衣を一枚, 御仏と, 御仏の御教えと, 御坊様方に供養させて頂きます, 追善供養の読経をお願い申します, 御仏の御教え, その他御坊様方へ, ささやかですがお布施をさせて頂きます, 青年は手紙を開いてみた, みすぼらしい姿の娘は男の後ろで小さくなって, うなだれたままじっとその場に座っていた, 本当にこれは美しい小袖です, すぐこの依頼文を御覧下さい, 男はうなずいてみせた, これは追善供養の御依頼ですか, 男は少女を連れて居士の所にやって来て, 供養の品と手紙を差し出した, 追善供養を願うにしては, いささか若すぎる少女の姿を見て, 居士は少し驚いてたずねた, こっちにいらっしゃい, かわいらしい, こんな若い娘さんが追善供養の品と御祈祷依頼の手紙を持って来たよ, 先程の門前の男の所へ, 一人の少女が訪ねてきて何事かを告げた, 男は思わず目を細めた, 聴衆は皆, 手を合わせ, 静かな読経の声が流れ出した, 謹み敬って申す, 一代の教主, 釈迦如来, 未来の三世の諸仏, 十方世界の菩薩に申し上げる, 仏法守護のよろずの神々に, 智恵の経文, 般若心経を読誦し奉る, 夕べの空に雲が流れるこの雲居寺, くもいでら, 月を待つ間の慰めに, 一座の説法を述べましょう, 慣れた口調で口上を述べ, 若き導師は高座に上がり, を打ち鳴らした, 戦災の後も生々しいそのあたりには急ごしらえの粗末な小屋が点在し, 黄昏空には雲が浮かんでいた, 居士はちらりとそれを見て, そう呼びかけながら, 彼は戦乱の世に疲れ傷付いた数多くの人々の間を通って行った, 雲居寺造営のお礼をお求めください, 声に応じて現われたのは, まだ少年の面影を残したような十六, 七のうら若い青年だった, 居士様へ申し上げます, 聴衆も大勢集まっておりますので, 急いでおいでください, 説法をお始めなさいませ, もう聴衆もつめかけていた, 寺の門前に住む男はこれを見て, いつものように居士を呼びに行った, 鎌倉時代末期の頃, 都東山の雲居寺, うんごじ, 自然居士と呼ばれた若き半俗の仏法修行者がいた, 戦火に焼かれ廃れかけた雲居寺建造の寄進のため, 彼は七日間の説法を思い立ち, 仏前に願掛けをして, 一日が過ぎ二日が過ぎ, 終に最後の満願の日となった, 相生の松に吹く風も, サラサラと快い音を立て, 許し合い, いたわり合い, 慈しみあうことのまことの喜びを, この輝かしい世界では, 神も人も, 共にいつまでも楽しんでいる, 共に生き, 共に老いる相生の松風の, このさわやかな命の声を, いつまでも楽しんでいるのである, 永遠に朽ちない気高い心の衣装をまとい, 地上に降りた若々しい神は, 再びさっそうと舞い始めた, 伸ばす腕では人の心の悪魔を払い, 納める手には長寿と幸福とを抱き, 千度の秋が訪れるようにと人々を愛し祝福し, 万年の楽しみがあるようにと憐れみと慈悲とをもって, 人々の命を延ばし給う, 神と人とが真直ぐに心を交し, 天におけるがごとく地においてもなされるならば, 幸せな豊かな世界, 平和なこの世の春が訪れる, それこそが真実の還城楽, げんじょうらく, この世が再び, 天の世界の幸いに立ち還らんことを祈る舞である, まこと様々な舞姫の, 声澄み渡るこの住の江, 松影も波に映っている, 中国西域青海省のその名を頂く青海波の舞, これもまた, この目前の大自然から来たものか, 気高い姿は舞い収め, 喜びに溢れこう言った, 神がこの世に姿を見せられた, 何と幸せなことだろう, 月澄み渡る住吉の神の喜び, そのお姿を目の当たりに拝めようとは, 何というあらたかな奇蹟だろう, よほどしばらく経ってから, 友成はようやく我に返り, 感涙を流してつぶやいた, どこからともなく一斉に沸き起こった神楽の響きに合わせ, 神は悠然と舞い始めた, あふれるほどの喜びが見守る人々の心に沸き起こり, 永遠とも思われる至福の一時に, 人々は皆, 酔いしれていた, 三月の雪が衣に落ちかかる, ふくいく, と香る梅花を折って頭, に挿せば, 千年の緑が手にあふれ, その岸辺の松にもたれて腰を伸ばせば, 沖を行く人々が色鮮やかな海藻を刈る, 浅香潟, あさかがた, のあたりでは, 残りの雪ももう浅い, 西の海, 青木ヶ原の波間から出現した気高い神のその姿, 神はじっとあたりを見回した, 立ち上がれ, 目を覚ませ, 夜の鼓の拍子をそろえて, 神を讃えよ神官達, 互いの理解と愛情, 信頼そして憐れみ, 隣人や隣国へのささやかな善意に裏付けられた平和の祈り, それが神の思いである, その神の心と共に, 人々が共に生き共に老いるなら, 人も国も, その幸いと輝きとは, この松の常盤の緑のように決して朽ちることはない, それこそが相生の松の本当の意味であると知れ, 私とこの姫松とが, どんなに仲睦まじく生きてきたか, あなた方が知らないはずはない, 知っていればこそ, はるかな過去からそれぞれの時代毎に, 神をたたえる神楽, かぐら, が執り行われてきたのだから, 青年は懐かしそうに松を見た, 私が初めて世界を目の当たりにしたあの頃から, 既にずいぶん久しく年を経た, この住吉の岸の姫松は, どんなに永い遥かな時代を生きているのだろう, 青年は岸辺の松に目をやった, そのまなざしに宿る光は, まさしく青年のそれだったが, その唇から溢れ出た流麗な言葉は, 不思議なまでの落ち着きと自信, 老成した円満な智恵と豊かな人生経験に裏付けられ, およそ青年のものとは思えなかった, しばらくして人々がようやく落ち着きを取り戻した頃, 一行の眼前が突然サーッと明るくなって, あたりは神々しいまでの気高い光に照らし出された, まぶしさに思わず目を閉じた人々が, やがてそっとまた目を開いてみると, そのさわやかな光の中心には, 輝くばかりに美しい一人の青年の姿があった, あたりはしんと静まり返り, 聞こえるのは波の音ばかり, 変ったことは何もなく, 一行はただ固唾を飲んで待っていた, 人々は月夜の浜辺に降り立った, 潮の匂いを含んだ春風はやさしく, あたりは澄んだ月の光に照らされて, 振り向けば一面に銀のきらめきを放ってどこまでも波が広がっていた, この浦船に帆を上げて, この浦船に高く帆を上げて, 月もろともに出かければ, 船は折りからの満潮に乗り, 波打つ淡路の島影や, 遠く鳴尾の沖を過ぎ, 早くも住の江に到着したのだった, 一行はさっそく船に飛び乗った, 男は艫綱, を解き放ち, たちまち船は洋々たる海に出航した, 神様の御配慮か, 追風が吹いて来ましたぞ, 急いで船に御乗り下さい, いつしかあたりは暗くなり, 夜のとばりが降り始めた, するとちょうどその時, 折りよく一陣の風が吹いてきた, 浦の男は喜んで一行を振り向いた, それならそちら様の船に乗らせて頂いて, すぐ住吉へ参りましょう, ぜひ私共の新品の船をお召し下さい, 私が梶, を取らせて頂きます, 住吉へご一緒致しましょう, 実は私は, この間小船を一艘, 作りましたが, まだ初乗りして居りません, どんな御方であれ, 何しろ縁起の良い方を最初にお乗せしようと思っておりました所に, 阿蘇の宮の御神職といい, おまけに当社と住吉の明神にお言葉を交されたほどの神に祝福された御方に最初に乗って頂けるなら, 船路の行く末までも末永く祝福されるでしょう, ことに, 住吉で待っていようとおっしゃって汀の小船で沖へおいでになったということなら, 一刻も早く住吉へ御参詣されるのがよろしいでしょう, さては私が今しがたお話ししましたように住吉の明神が当社へおいでになって, 当社高砂の神様ともろともに松の木陰を清めておられた折りに, あなたとお言葉を交されたのですよ, これはまた何と不思議なことをおっしゃる方だろう, 浦の男は目を丸くした, 住吉で待っている, と申され, 汀の小船に飛び乗って, 沖を目指して出発されたかと思う間もなく, かき消すように見えなくなり, その姿を見失ってしまったのです, 丁寧にお話し頂きありがとうございます, ちょっと前に老人夫婦が来られましたので高砂の松のいわれをたずねましたら, ただ今のように丁寧にお話し下さって, 友成はうなずいた, 私共が聞いておりますのはこんな所ですが, どうしてそんなことをおたずねですか, 変ったことをおたずねですな, 我らがこの地を五十六億七千万年までも永遠に守ろう, とおっしゃったと承っております, 松がめでたいものとされるのは, 生え始めのちょっと伸びた時から, ずっとその色はとこしえに変らず, 常に千年万年の齢, を保つからです, ですから松に勝るめでたいものはあるまいとおっしゃって, 二人の神がご一緒に植えられましたので, これは別名, 相植えの松, そして両神のお言葉として, 浜の真砂は尽きるとも, 詩の言の葉は永久, に尽きない, などと, このように承っておりますが, 本当の相生の意味は存じません, 砂は長じて岩となり, 塵も積もれば山となる, 昔の和歌の言葉にも, 総じて当社と住吉とは一心同体の神様で, 和歌の道, 芸術が栄えることも, また仲の良い男女や夫婦が末永く幸せでいられるのも, ひとえに両社の御神徳であると申します, また一説には, 当社高砂と住吉の明神とは夫婦の神様だと申します, ですから住吉の明神が当社においでになる時にはこの松の木陰で語り合われ, 昔から今に到るまで幾代久しく会いにいらっしゃいますので, というのは, 共に生きる夫婦の神々が集われる松という意味で, この土地で私共のような者が言い習わしたことであるようにも思えます, 木にも色々ありますが, その中でも松は常盤木で永く栄えるものですから, 和歌の道が栄えることも, この高砂, 住の江の松のようであって欲しいということを例えたものだと申します, 相生のように思われる, と書かれてからだと申します, 相生というようになったのは, まずこの浦で高砂の松と申しますのは, 特にこの松を呼び習わしたものです, 浦の男はうなずいた, ではどうぞお話し下さい, この浦の者としてせっかく声をかけて頂いたものを, ただ知らないと言うのも何ですから, およそ聞いております通りをお話し致しましょう, これは思いがけないことをおたずねですな, 私共もこの浦に住んではおりますけれども, そんなことはもっとお偉いお方に聞かれるべきことだと思いますし, 実際詳しくは存じません, すると浦の男は目をパチクリさせて言った, 私は九州肥後の国, 阿蘇の宮の神主友成と申します, この浦には今回初めて参りました, この土地の高砂の松のいわれをお聞かせ下さいませんか, すると友成は, 軽く会釈して言った, 私がこの浦の者ですが, 浦の者がうなずいた, この浦の人を連れて参りました, 二人は連れ立って友成の所に戻ってきた, 部下は言った, いいですよ, ちょっとおたずねしたいことがございます, こちらへおいでください, この浦の者をおたずねですが, 何の御用ですかな, 男は部下の所へやってきた, この浦の者をおたずねだ, 行ってみよう, 何の用かな, 聞いて男は振り向いた, この浦の人はおられませんか, 部下はさっそくあたりを見回して, 通りがかりの男に声をかけた, 承知致しました, この浦の人を呼んできなさい, ここに居ります, 部下はすぐに戻ってきた, 居ないのか, 船の影が見えなくなってしまっても, 友成はまだ驚き果ててその場に立ち尽くしていたが, やがて我に返り, 部下の姿を捜した, 我らが住吉にまず行って, あちらでお待ち致しましょう, そう言うが早いか, 二人は夕波の汀, みぎわ, にあった海人, の小船に飛び乗って, 追風に吹かれるままに, 風のように沖合いに出たかと思う間もなく, 船も二人の人影も, かき消すように見えなくなってしまった, 老人は輝くような瞳を上げて, 遠く住吉を指差した, 大地も木も, 全ては我らが神の世界です, 願わくば, いつまでもこのまま, この良き時代に住んでいたいものです, 世の人々は, 草木には心がないと申しますが, そんな私共にとっても, 今はこんなにも素晴らしい時代です, 老人はかすかに微笑んだ, それではこの名所の松が, 奇蹟を現わすために現れたのか, こんな不思議なことがあるだろうか, 友成はすっかり驚いた, けれどもじっと老人二人を見直すと, 不思議な事にその姿は, 確かに人間の姿ではありながら, 完全にあたりの自然に溶け込んで, およそこの世の者のようには見えなかったのだ, 今は何を隠しましょう, 私共は高砂, 住の江の相生の松の精, 夫婦の姿で参りました, すると二人は, 不思議な微笑を浮かべながら異口同音に答えた, この有名な松の老木の尊いいわれを御教示頂きありがとうございました, あなた様も, きっとさぞかし名のある御方だろうと存じます, お名前を教えて頂けませんか, 友成は老人と共に, しばらく深く感慨にふけったが, やがて改まった様子で老人夫婦に一礼した, そうした常盤木の中でも, ことに名高い高砂の松は, 末代まで伝わる良い例である, それに今, 巡り会えたとは, この良き時代に相生の松に出会えたとは, 何という幸運, 何と素晴しいことだろう, 松の葉は散り失せず, 色はなお勝り, まさき, かづら, は長く伝わり, と昔から言われる言葉通りで, 長寿と永き良き時代の例えにされるのもよくわかる, 一行はじっと耳を傾けた, 春とはいえまだ肌寒く, 夜半から暁にかけては霜が置くけれども, 松の枝の葉の色は, いつもと同じ深緑, 木陰に立ち寄り朝夕掃いても, いつまでも落ち葉が尽きないのは, 尾根から鐘の音, がする, 遠くで鐘の音がした, 知らぬ間に時が流れていたのである, 老人はふと顔を上げ山の方を見上げた, 中でもこの松はあらゆる木に優れ, 十八公, 松という字を分解するとこうなる, の名の通り, 千度の秋が訪れても, 変らず緑のままであり, 年を感じさせることもなく, 秦の始皇帝から爵位にあずかるほどの木であると, 海外でも本国でも, 万人に賞賛されている, 春の林が東の風に揺れ, 秋の虫が北風の露に鳴くのも, 命の歌, それぞれの詩を歌う姿ではなかろうか, と記されている, 心あるものもないものも, その声は全て皆, 一つの例外もなく命の歌である, 風の声, 水の音まで, 万物には心が宿っている, この豊かな自然を前にたたずんでいると, それ以外に考えようがない, そう友成には思われた, 藤原長能, ふじわらのながよし, の言葉にも, こうした悠久の時の流れを待つ松の枝は, 永遠の命の輝きを象徴する言葉として, 草の葉に宿る清らかな露の玉さながらの, 美しい心, 豊かな感性を磨く種となります, 常々こうした自然の豊かさ美しさに思いを馳せるなら, ついには生きとし生けるもの全てが, それぞれに声なき声で命の賛歌を歌っているのが, 心に届くようになると申します, どんなに四季が巡っても, 一千年を経ても変らぬ緑の色は, 深い雪の内にあっても鮮やかです, 松の花の色は, 千年繰り返し花開いても, そのみずみずしさも爽やかな芳香も, なお変らないと言われます, けれどもこの松は, その色はとこしえに変らず, 枝も葉も一年中変りません, 老人はちょっと言葉を切って, 愛しむように松を見た, 元来草木には心がないと申します, 草木は決して人を裏切りません, 花の春には一面に花開き, 実りの秋にはたわわに実を結びます, 時を違えることなく, 実に順序良く, 陽春の温もりを得る頃には, まず南の枝から最初に花が開きます, 老人はしばらく口をつぐんで考えていた, そのまなざしはあたたかく, かすかな微笑が宿っていた, もっと高砂のいわれを詳しく教えて下さいませんか, 友成は豊かな春の景色を眺め, じっと思いにふけっていたが, やがてまた老人を振り向いた, どんなに誉めたたえても感謝しても, それすら言うも愚かなことに思われた, こんな時代に暮せる世代は, それだけでも豊かに恵まれている, これほどまでに豊かな神の恵みと, 平和を願う優れた政治に恵まれたとは, 一行はじっと海を見た, 全く老人の言葉通りだった, 見渡す限り一面に, 海原は波もおだやかに静まって, 世も国も平和で豊かなこの一時, 風すらもやさしく吹く時を知り, いたずらに枝を鳴らすこともない, この良き時代に巡り会えたとは, この相生の松も何と幸せなことだろう, 春ものどかなことですなあ, 松も鮮やかな緑の色を添えていますね, そしてここは高砂, あそこは住之江ですね, 友成は海の彼方を眺めた, 輝く海の彼方には, 碧くおぼろな松の茂る海岸があった, ごらんなされ, 何とのどかな日でしょうか, やわらかな陽の光が西の海を照らしておりますよ
Text of the page (random words):
違っても 不幸な娘を憐れみ あるいは戦乱で失った自らの親兄弟や子を思い 等しく袖を涙で濡らしていた ちょうどその頃 ある暗い路地裏の一軒家では 東国から都に上ってきた奴隷商人が イライラしながら何かを待っていた 今も昔も 武器と同様 奴隷の売買は金になる 戦争の後には多数の孤児が現れる いつの時代も 不幸な娼婦や奴隷を欲しがる悪魔さながらの人が居て 資本主義の理論によれば 需要のある所に供給が生まれる 腐った肉にハエがたかるように 金の匂いのする所に金の亡者がたかる 神は死んだ と叫んだ狂人さながらに 不幸な人から金を吸い取る腐敗した教祖同様に 人間の良心さえ捨ててしまえば 金を得るのは容易である ある者は貧しさのため ある者は戦乱の世の中で 実の親に売られ あるいは誘拐されて売り買いされる 彼等の末路はこの世の地獄 逆らえば拷問 虐待と暴力 過酷な労働と残酷な扱い それが彼等の日常である なまじ美しければ男女を問わず身売りさせられ そのあげく死病をうつされ 人間扱いもされず 苦しさの余り逃亡を計った者には 死よりも酷 ひど い虐待と拷問が待っている 日常的な虐待により 彼等は最後の気力も削ぎ取られ かすかな希望もわずかな意志も 一切を徹底的に踏みにじられ 生ける屍に仕立て上げられる 巨額の富を得て笑う人々の背後の闇に 全てを奪われ絶望する人々の姿が見え隠れする 金持ちが天国に入るのは ラクダが針の穴を通るより難しい キリストの言ったこの言葉は こんな人には多分事実だろう 昔も今も この現実は何も変らない およそこの世に 真の弱者たる子供達の人権が守られる社会は 過去においても存在しなかったし 今も存在していない さて 今回 この奴隷商人達は都で数多くの人を買い取った また 十三 四ばかりの娘も買い取ったのだが 昨日 その娘が 少しで構いませんからお暇を下さいませと願い出たので そのくらいならと外へ出してやった ところが 今日になっても娘は帰らない 商人はとうとう待ちかねて立ち上がり 奥の間にいた仲間に声をかけた おう そこにおられましたか 昨日の小娘は親の追善供養だとか言っておりましたから きっとどこぞの仏前にでも居るに違いない ちょうど自然居士が雲居寺で仏前供養と説法をしておりますから これから行って見てみましょう 相手も男もうなずいた それが良いでしょう 大の男が二人がかりなら どんな相手でもまず逃げられない これは 警官やその筋の人々の常套手段である 二人はそろって出かけてゆき じきに雲居寺にたどり着いた 見れば 娘は人ごみの中に混じって じっと両手を合わせている そら 思った通りだ やっぱりここにいる さあ 急いで連れて来て下さい 承知しました 商人は人の間を縫って少女の所まで来ると 力まかせに娘の背中を小突いて低い声で言った おい さっさと立て これを見とがめた門前の男が驚いて立ち上がり 二人の間に割って入ろうとした 渡さんぞ すると人買いは 刀の柄に手をかけてすごんで見せた 引っ込んでいろ そのわけがあるんだ これには男もたじろいで 仕方なく言った わけがあるなら連れて行け 人買いは乱暴に少女を立たせると 来た時と同じように平然と出て行った 門前の男はあわただしく自然居士のもとに駆け寄りひざまずいた 居士様 申し上げます 瞑目してただ一心に読経していた居士は目を開き 落ち着いて尋ねた 何事ですか はい ただ今追善供養を申し出ました娘を 荒くれ男が二人参りまして追い立てて行こうとしましたので 渡せない と申しましたら そのわけがある とすごまれましたので つい渡してしまいました 聞いて居士はまゆをひそめたが 別段驚いた風もなく 淡々と言った ああ 嫌なことになりました 初めからあの娘はわけありに見えました その上 追善の依頼をするにしても ただ 小袖 とだけ書くでもなく わざわざ 我が身に代えて と書いてありましたから どうもおかしいとは思っておりました 私が察しますに あの者は親の追善供養のために 我が身を売ってこの小袖に代え こうして差し出したものと思います だとすれば 先程の者達は奴隷商人でしょう 代価を払って正式に買った以上 法律上はあちらに道理があり こちらは無理を言っているだけですから あなたが止めようとしても無駄でしょう やりきれない思いで門前の男が言った 奴隷商人なら東国へ下ってゆくでしょう 大津 松本へ私が走って行って引き止めましょう 居士はこれを制して言った お待ちなさい あなたが行かれたぐらいではだめでしょう 私がこの小袖を持って行って 娘に代えて連れ帰りましょう 男は目を丸くした いや ですが今日は仏前で誓われた七日の説法の満願の日ではございませんか ここで説法を止めてしまわれては 今日までの御説法が無になってしまいます けれども青年ははっきり首を横に振った いやいや 説法というものは たとえ百日千日お聞きになられたとしても 結局は善悪二つをわきまえ知るためのもの 今の娘は善人 奴隷商人は悪人 御覧なさい これほどまでに明白な善悪二つの道がありますか そして青年は立ち上がった 今日の説法はこれまで 願わくばこの功徳をもってあまねく一切に及ぼし 我等と衆生と 皆 共に仏道を成さん これも慈悲を行ずる仏道修行のため この身を捨てて人を助けよう 驚く聴衆もそのままに 居士は決然と人買いの後を追った さて くだんの奴隷商人は すでに琵琶湖の湖畔にたどりつき 今にも船出しようとしていた 船着き場へは一本道だが 一旦船出してしまえば もう何処へ行くのか知れたものではない さざ波は音なく白く打ち寄せ 一行は舟路に出ようと急いでいた 一方 こちらには船がない 早く 急がないと間に合わない 青年は必死で走った どうか間に合ってくれ もしも心があるならば 御仏が説かれた人の道に心を止めて どうか思い留まってくれ そう一心に念じながら道を急いだ甲斐なのか 若者の健脚が勝 まさ っていたのか やがて青年の眼前に どこまでも広がる青い湖と 奴隷商人の船が現れた 青年はやっと少しほっとして足をゆるめ 静かに呼吸を調えた それから扇を広げて手招きしながら 舟に向かって呼びかけた おーい そこのお舟に申し上げたいことがある 奴隷商人は艪 ろ から手をはなし けげんな顔で振り向いた これは山田や矢橋の渡し舟でもないのに どうして呼び止めなさるのか 私も別に旅人ではないから 渡し舟とは言っておりません そのお舟の方に申し上げたいことがございます さて この舟を何の舟だと思っておられるのかな 青年はさりげなく答えた その人買い舟に申し上げたいことがございます 聞いた人買いは思わず顔をしかめた ああ声が高い 何だ何だ 青年はうなずいた もっとももっとも 他にも人が聞いているかも知れない 声が高い とおっしゃるのももっともだ ひとかい と申しましたのは その舟を漕ぐ櫂 かい の事ですよ 人買いはこれを聞き 今度は変な顔をした 櫓 ろ には唐櫓 からろ というものがあるけれども ひとかい などという櫂はないが 居士はまじめくさって言い返した 水面に煙る霞 かすみ のことを ひと霞ふた霞 息もひと息ふた息などと申します 今初めて櫂を入れて漕ぎ出した舟だから ひと櫂舟と言ったまで それが間違いでしょうか 聞いて舟の男は笑った まったく面白いことをおっしゃるものだわい さて それにしても何の御用ですか 私は自然居士という説教者ですが 説法の場を台なしにされた恨み言を申しに参りました 人買いは首をかしげた 説法では物の道理を教えなさるはず 我らに落度はないはずだが とにかくさっきの小袖はお返しする 言葉と共に青年は 小袖を男に投げ返し 舟と離れてはならない と 濡れるのもお構いなしにザブザブ湖に踏み込むと 裳裾を波に浸しながら 舟端をつかんで引き止める この有様に 人買いは舌打ちして苛立ちながら 声を荒げて ああ腹が立つ とは言うけれども 相手は僧侶 僧形の衣を恐れ打つのもならず こんなことになったのも貴様のせいだ と 櫓櫂 ろかい でもって娘をさんざんに打つ 娘は声も立てずにされるがまま これはいかんと青年は このすきに強引に舟に乗り込んで 打たれても声が出ないとは まさか死んでしまったのか と 娘の身を案ずると 人買いは吐き捨てるように このぐらいで何で死ぬものか その言葉に 居士が急いで駆け寄り娘を引き起こしてみると 身には縄 口には綿の猿ぐつわをはめてあり 泣けども声の出ようはずもない ああかわいそうな子だ 連れて帰ってやるぞ もう安心しなさい 人買いはもてあましたように言った おいおい 自然居士 いい加減に舟から降りなされ 青年はまじめな顔で言った どうかこの子を下さいませ 小袖をお受け取りになった以上は この子はお返し下さいますのでしょう すると人買いは 何を思ったのかニヤニヤして互いに顔を見合わせた そして言った 差し上げたいのはやまやまですが 実は困ったことがあります 何でしょうか ええ 我らの仲間内には厳しい掟がございましてな それが何かと申しますと 一旦人を買い取ったら 二度と再び返してはならぬという掟ですので 差し上げるわけには参りません 青年は落ち着いてうなずいた よくわかりました けれどもまた 我らの仲間内にも厳重な掟がございます このように自ら我が身を捨てようとする者に行き会った時 もしその者を助けられないならば 二度と再び庵室へ帰ってはならないという掟ですから こうなった以上 そちらの掟をも破りますまい また こちらの掟も破られるわけには参りません となれば たとえこの子と一緒に陸奥 みちのく の国へ下ることになったとしても この舟からは決して降りますまい これを聞いて 人買いはまた怒り出した 舟をお降りにならないおつもりなら 半殺しの痛い目に会いますぞ 青年は動じる色もなく まっすぐ人買いの目を見据え 痛い目に会うのも捨て身の行のうち 人買いは恐ろしい顔をした 命を取るぞ それでも青年はきっぱりと言い放った たとえ命を取られようとも 決して舟は降りるまい 人買いは目を丸くした 何だと 殺されても決して舟を降りないと言うのか 青年はうなずいた もちろんそのつもりです 人買いはすっかり居士をもてあまし いやこの自然居士には全く困ったもんだ そうつぶやいて仕方なく仲間の所に相談に行った おーい そこにおいでですか ああ これは何の騒ぎですか 男はかいつまんでことの次第を告げ 困り切ってたずねた さて これはどうしたものでしょうか 相手はすっかり考え込んでしまった そのあげく言った これは返してやるしかないですな 考えてもみなされ 奥州 おうしゅう からわざわざ都に上った人買い商人ともあろうものが 人を買いそこなって自然居士などという役にも立たない説教坊主を買い取って下っていった などということになっては一大事 いい人の笑い者になる これは返してやるしかないですな 相手もくやしそうに肩をすくめて見せた 私共もそうは思いますけれども ただ返すのではあんまり腹が立ちますから散々になぶってやって その後に返すことにしましょう もっとも それが良いでしょう そう事が決まると 人買いは居士の所に戻って来た なあ自然居士 早く舟から上がりなされ 青年はほっとしたように言った ああ 船頭さんのお顔の色がすっかり直りました 人買いはわざと怒ったように けれども少しからかうように いや ちっとも直ってはおりませんぞ まあ それはともかく ここにいる人が申しますには 今度初めて都へ上ったけれども 自然居士は舞がお上手だと以前から承っております ぜひ一さし舞ってお見せください とのことです けげんな顔で居士は答えた それは何かの間違いです およそ私は 舞など舞ったことはありませんが けれども人買いは首を振った いやいや それは嘘をおっしゃっておいでです 一年前 今のように説法をしておいでになった時 さあ聴衆の眠りを覚まそう とおっしゃって 高座の上で一さし舞われたというお噂は 陸奥までも知れ渡っております ぜひ一さし舞って見せて下され 青年はうなずいた ああ それはざれ事でしたことですが それもまた仏道修行の一つですから そのようなこともあったでしょう 舞を舞って御目にかけましたら この者を下さいますのでしょうか からかうように人買いは答えた それはそれ まず舞を見てみて その時と次第によっては差し上げましょう ここに烏帽子があります これをお着けになって舞いなされ こう言ってあざけるように笑いながら みすぼらしい烏帽子を差し出した 青年はこれを聞き なるほどわかった 最後はこの者を下さるおつもりなのでしょうが ただ返すのは悔しいから この居士をいろいろなぶって恥をかかせようということですな あまりにそれはつれないなさりようです 人買いは笑った 何のつれないことがあるものか そう言って舟を岸に着けると 居士も人買いも一緒に岸辺に降り立った ちょうどここは 滋賀県は琵琶湖の湖岸であったから 人買いの打つ手拍子に合わせ 居士は歌うように言った 連れもない 滋賀辛崎の一つ松 つれない人の心だな そして居士は軽やかに舞った ひとしきり舞ってしまうと 今度は朗々と歌いながら 再び居士は舞い出した そもそも舟の起りをたずねれば その水上は中国は こうてい の御代より起り 流れの元をたどってみれば 貸秋 かてき の謀 はかりごと より生まれ出たものである 当時ここには 蚩尤 しゆう という名の謀反人が居た 黄帝は彼の者を滅ぼそうとなされたが 烏江 うこう という海に隔てられ 攻める術すらなかった折り 黄帝の臣下の一人に 貸秋という兵士があった ある時 貸秋は庭の池の面を眺めていた 折しも頃は秋の末 木枯らしに散ったのか 柳の一葉 ひとは が水に浮いていた また そこへ蜘蛛が一匹 これまた虚空より落ちて来て その一葉 いちよう の上に乗り ひどく頼りない姿ではあったけれども 次第次第にそのクモが 吹き来る嵐に誘われて 立ちこめた秋霧もろともに ついに汀に吹き寄せられた このクモの振舞いを見て智将貸秋は なるほど これだ と思い立ち 工夫を重ね舟を作った 黄帝はこれに乗り烏江を漕ぎ渡り 蚩尤をたやすく滅ぼして ついに天下を治められ 齢 よわい 一万八千才に到ったと言う だから今なお舩 ふね の字を 公に舟 すす むと書くのである さてまた天子の御舟を龍舸 りょうが と名付け奉り 舟を一葉と数えることも この御代 みよ から始まった また貴い方の御舟の類をも 龍頭鷁首 りょうとうげきしゅ 本来天子の乗る舟をこう呼んだ と申すのも この御代より起ったことである 見事な舞と歌だった 船乗りは旅の無事を願って縁起をかつぐ 船の由来を述べて祝福する居士の歌を聞き 人買い商人も怒りを忘れ すっかり喜んで言った これはまた何ともったいない 我らの舟まで龍頭鷁首とお祝い下さろうとは 全く過分に存じます せっかくだから ついでにささら簓 ささら 竹 注 古代のマラカス を摩 す って見せて下さい それなら竹を下さいませ あいにく船中には竹がありませんが 青年は快くうなずいた 構いません そして心中思うには 釈迦如来が難行苦行し給うたのも 一切の衆生を助けるためだった 私もまたそのように 今こうして心を砕き身を砕くのも あの者を助けるためである 心に恥じることはない そして再び青年は 数珠と扇を取り出して 身振りよろしく歌い出した そもそも簓 ささら の起りをたずねれば 東山にいたある僧が 扇の上に散りかかった秋の木の葉を 手にした数珠でさらりさらりと払ったことから 簓という事が始まった 私もまたそのように 簓の軸には百八の数珠 簓の竹には扇の骨 これを取り上げ合せ擦る 所は滋賀の浦だから さざ波の 注 さざ波は滋賀の枕詞 いや 笹波の 滋賀辛崎の松の落葉を さらりさらりと簓の真似を 数珠でするなら簓より 手を擦り合わせお願いしよう 今は助けて下さいませ 言葉とともに居士は手を合わす 人買いも今はもう何の遺恨 いこん もなく 手を擦り合わせてなどと そこまでおっしゃるのなら 差し上げましょう そう言って娘を解き放ち 少しばかり名残惜しそうに せっかくだから鼓 つづみ も打って見せて下さい 居士はうなずき もとより鼓 つづみ はないけれど 私の鼓は波の音 波は寄せては岸をどうと打ち 雨雲は空をさまよい流れ 空をさまよう雷が ドドンドドンと鳴る時は 降り来る雨はハラハラと 小笹の竹と一緒に簓を摩る 冷たい池の氷でも 解ければ心楽しく鳴るだろう 鼓をまた打ち ささらをなお擦り ざれ事ながら これも仏法修行の道 今は救いの彼岸に到り 岸に寄せ来る舟の内より 居士はテントンと手を打ちながら ついに娘と連れ立って 共に都に上っていった 共に都に上っていったのだった 保護された子供達 吉原の芸者 現実には売春婦であり 多くは貧しい農村から売り飛ばされてきた十代の少女だった 劣悪で残酷な環境で この不幸な女性達は性病や結核に犯され 20代で死ぬ者も稀ではなかった 暴力団が経営する現代日本のアダルト ビデオ業界や性風俗店でも 同じように強姦や性病の蔓延 女性の性奴隷化が起きている 今の日本でもこの体たらくであるのに 戦争中に日本が侵略 植民地支配していた国々で女性の性搾取や強姦が起きなかったと主張する安倍晋三や与党といった右翼勢力の見解はあまりにもバカげている 彼らの 歴史修正主義 は 当時の戦争犯罪の 隠蔽主義 に過ぎない たった今 日本の与党が実行している独裁政治や悪事の証拠隠滅 公文書偽造などの隠蔽工作 不正な裁判や国民の人権の蹂躙や数々の憲法違反を見れば 安倍と与党と右翼とが 卑劣な隠蔽主義 恥知らずの嘘つき 良心の欠片もない人間の屑であり 安倍の祖父のような戦争犯罪人も 同じ事を実行していた人間の屑であることが容易に理解される 臓器売買 東南アジアでは普通に行われ 日本の暴力団も関与している トルコのクルド人 ミャンマーのロヒンギャ族 日本の在日朝鮮人など 少数民族は常に迫害され差別され 戦時下や有事の折にはさらに残酷な暴力を受け 強姦 虐殺なども日常茶飯事になる マフィア ギャング団 暴力団 人身売買組織 時には実の両親によって 乞食として稼ぐため 健康な手足を切断された子供達が現代にも無数に存在することをご存知だろうか 誘拐され販売されるはずだったが 奇跡的に救出され再会を果たした母子 薬物強 姦魔 安倍の御用ジャーナリスト山口敬之と 親友である右翼の作家 百田尚樹 こうした人間の屑の 需要 が 女性の性搾取や性犯罪 児童売買や児童買春を継続させている 売春宿の子供達 奴隷として商品として 日本の暴力団のような犯罪グループの資金源として 利用 されている イスラエルの軍人たちに 血まみれになるほど殴られ暴力を振るわれたパレスティナの少年 アメリカはイスラエルを支援し 日本もアメリカとイスラエルを支持し 安倍晋三はアメリカのユダヤ人カジノ王のためにカジノ法案を強行採決した コメント 0 カテゴリ 政治 2026 09 09 能 重衡 しげひら 重 衡 闇の底 ああ 季節はもう春だ 春 それは希望の季節 希望を心の道標 みちしるべ にして 憂いのない旅に出かけよう 旅姿の僧は どこまでも果てしなく広がるうららかな新緑を眺めてつぶやいた この僧は諸国行脚の修行僧である 彼はこのあいだ京の都に上り 洛陽の寺社を参拝してきたところだった またこれから南の都 奈良の七堂にお参りするつもりだった 都からまた旅だって井出の里を通り 今日は三日ノ原 みかのはら を通過した 泉川の河風は静かに流れ かすむ春の空をのどかに日が巡り こここそかつての南の都 はやくも奈良坂に到着したのだった 旅の僧が奈良の都に着いた頃 一人の老人が奈良坂にさしかかっていた 老いぼれには苦しい坂だけれども この苦しい老いの坂も ほどなく越えられることだろう 老いの苦しみもじき終るだろう 老人はしばし立ち止まり 物思いにふけりながら古い詩の一節をつぶやいた 花は雨が過ぎて紅 くれない なお勝り 柳は風に翻弄されてようやく緑満ち足りる 寒林に骨を打つ霊鬼は 泣く泣く前生の業を恨み 林野に花を供 きょう ずる天人は つくづく起請 きせい の宣 せん 注 高位の貴族による指令 転じて神仏の意志 を喜ぶが これはただ それぞれの思いと言動の当然の結果だったのだ 自らの悪行が苦しみを 善行が喜びをもたらした 現在の結果は ただ一つの例外もなく 皆 原因があって生じたもの 様々な境遇に生まれ変わり 様々な苦楽 悪事も善行も全て経験して初めて 人は忍耐や他者への憐れみを知るのだろう そうつぶやくと老人は 遠い目をして空を見た 人間万事塞翁 さいおう が馬 注 人生の幸不幸は連続していて 幸福だけ 不幸だけが訪れるものではないという格言 喜びも苦しみも この大いなる宇宙の法則から逸脱したものでは決して無い いや この世のいかなるものが この神仏の法則から外れるものたり得るだろう 本当に この世でも後の世でも 神仏の法は変ることがない 遠くの方から弱々しいさえずりが聞こえてくる 老いたウグイスは声も衰えて 身体の色もくすんで消えかけている その衰え果てた哀れな姿を見ると 本当に身に積まされる思いがする 老人は深く嘆息し 再び歩き始めた 春の日の影もろともに 遅い歩みでとぼとぼたどりゆく やがて程なく老人は 通いなれたこの奈良坂の 花の木陰にたどり着いた 老人の姿に気付いて旅僧は声を掛けた もし そこの御老人 お尋ねしたいことがございます 聞いて老人は顔を上げた 何でございますか 私はこの場所を初めて訪ねた者ですが 見事な仏閣の数々は 目を見張るばかりの有様です すると老人はうなずいた 本当に 私共は明け暮れ見慣れておりますが この奈良坂に上がって見ると やはり目を見張らずにはおられません 殊に 初めて御覧になられたのでしたら さぞかし驚かれたことだろうと存じます 見渡す限りどの仏閣でもお尋ねなさいませ ざっと御教え致しましょう 言われて旅僧はあたりを見回した ではまずここから東の方に大きなお寺が見えますが あれは有名な大仏殿ですか 老人はうなずいた ええ あれこそは三国無双の大伽藍 だいがらん 東大寺の大仏ですよ また ここから西の方角の塔婆の見えるお寺は 何という寺ですか あれは僧上遍昭 へんじょう の歌に 浅緑 糸撚り掛けて白露の 玉を貫く 春の柳よ と 西の大寺の柳を詠まれたということが書き記されておりますが その西大寺です 人々が衣を干す佐保の川の 流れに続くあの寺は あれはその昔 唐の霊光法師が作られた 十二面の仏像二体が納められている 法華寺 ほっけじ という尼寺です それでは 南の方に見える寺の名は 法相流布 ほっそうるふ 注 法相は人間の本質 の興福寺 山科寺 やましなでら とも申します ではそのはずれに連なるのは あれは春日の御倫旨 りんじ 注 帝の勅語 の使いに行かれた際 中将在原業平 ありわらのなりひら が御建立された 勤業の声も途絶えぬ不退寺だよ ではなお遠くに見えるのは その時 ちょうどそのあたりから はるかに鐘の音が響いてきた 老人ははっと目を上げて 独り言のようにつぶやいた 今日はまだ命があるかも知れないが 明日には失われてしまうかも知れない そう告げ渡る飛鳥の寺の夜の鐘 罪深い者達に 逃れ得ぬ死と 永遠にも等しい死後の呵責 かしゃく 注 責めさいなまれること の苦しみを告げ知らせるために 地獄の使者が撞 つ いているという ああ 恐ろしい 老人はぞっと身震いした それにしても あの有名な死を告げる鐘の音はこれかと思えば 夕暮れも寒々として 何と荒涼たる景色だろう 老人はしばらくじっと押し黙ったままだったが やがてまた落ち着きを取り戻し 夕陽に染まるあたりの風景を眺めた 本当に いにしえに 滅びた奈良の都路も 春に帰って花盛り 八重桜木の麗しさ ああ 美しい 二人は今を盛りと咲き誇る桜の花と それとは全く対照的な 古色蒼然たる仏閣が彩る暮れ行く古都の景観を しばらく黙って眺めていた やがて旅僧が振り向いた それではこれで失礼致します そう言って一礼すると 何を思ったか老人が声を掛けた お待ちなさい この墓跡に向い 回向をしてお行きなされ 老人の指さす方を見ると そこには茫々と雑草が生い茂った荒れ果てた墓があった 卒塔婆 そとば もすっかり朽ち果てて 書かれていた文字も判読できなかった 回向するのはたやすいことですが どなたへの御回向でございますか 重衡 しげひら を御回向してください 重衡はこの場所でお亡くなりでしたか 老人はかすかにうなずいた ええ 重衡は一の谷で生け捕られ 関東に護送されるはずでしたが 彼が以前焼き払った南都奈良の訴訟の声が激しかったので あの木津川で処刑されました 老人は遠い目をして暮れ行く空を見た あれほどの栄華の門を構え 一族全てが栄耀栄華を連ねた身でしたが 人間というものは ある時には栄えても またある時には衰えると申します そうした世の定めを目の当たりにする有様でした 朝 あした に紅顔の若やぎをもって我が世の春を謳歌しようとも 夕べには白骨となって荒れ野原に朽ち果て 木津川の波と消えてしまった哀れな跡でございます 旅僧は深い憐れみのまなざしで答えた そういうことでしたか 平重衡 たいらのしげひら その名を聞くのもおいたわしい では御跡をお弔い致しましょう それを聞くと 何とも言えない悲しい目をして老人がつぶやいた 跡を訪ねてくれる人さえいないから 春の草がこんなにも生い茂って 墓跡も蔭に隠れてしまっている ああ お恥ずかしい はかない露の身なのに今なお消えてしまうことも出来ずにいる この惨めな死後の姿でお会いしようとは 何と悲しいことでしょう それを聞いて旅の僧はハッとして振り返り まじまじと老人を見つめた ではその御姿は これはいつの時代に生きた人だろう 不審に思っていると老人が口を開いた その重衡の幽霊です 私の表面意識はこの世を去りましたが 衰え果てた潜在意識は 白髪も霜さながらの老人と見えておりましょう これが今の私です 彷徨 さまよ う心が参りました いつしか月が昇ってきた 老人は空を見上げてつぶやいた お情深い御方が来てくださったと 夕べの月も光を投げかけている そうだ あれは三笠山だ 老人は背後の卒塔婆 そとば を振り向いた これもまた笠卒塔婆 惨めな私の影を隠してくれる そうつぶやいて老人は 笠卒塔婆のあたりに咲いた花の蔭に隠れて そのまま姿を消してしまった 後に残った旅の僧は 夢のような出来事をいぶかりながらも 先ほどの老人の願いの通り 仮の枕をしつらえて 傾く月の夜もすがら あの重衡の亡き跡を ただ通りすがりの縁ながら 真心込めて供養した よほどしばらく経った頃 どこか知らない遠くの方から つぶやくような声がした 旅僧がハッと目を上げると すぐそばに一人の武装した武者が立っているのだった 古郷 ふるさと と なりにし奈良の都路も 春は忘れず花は咲きけり それは帝の御歌だった 私はもとより数ならぬ身 みすぼらしい衣を身にまとい たとえ春が訪れても 豊かさとはおよそ無縁の修羅地獄の責め苦に苦しみ続けている ああ この世が恋しい 亡霊はしばらくうなだれていたけれども それでもやがて顔を上げ かすかに苦悶の表情を残しながらも 誇らしげに胸を張った かつてこの奈良坂で 一門の最高位にあるものとして 私は弓矢をこの手に取った 私は地上の支配者であり この世は私のものだった 私は地上の神だった 数え切れないほどの一族郎等も知らぬ者とてなく 彼等は地上の神たる私の民だった 亡霊は豪然と呼びかけた 折から上った夜空の月が 冷たい銀の光を投げかけていた 皆の者 聞くがよい 私は軍人として武人として 地上の最高権力の座にあった また私は高貴なる一族として名を知られた者 この私の暗い心の雲も晴れ行く思いがする どこまでも晴れ行くこの月の夜の 御法 みのり 注 仏の教えた真理 の声のありがたさよ 重衡はそこで言葉を切って旅の僧に合掌したが やがてまた 独り言のように語り出した さて 私は一の谷で生け捕られ 京から鎌倉へと護送される所だったが 南都奈良の激しい訴訟によって あの木津川で斬られようとした その時 近藤左衛門の尉知時 じょうともとき という者が 私の最後を見届けようとして 貴賤の人々が取り囲む中をかき分けかき分けやってきて おい重衡 知時が参りましたぞ と声を掛けた 日頃のなじみだったから来てくれたのが嬉しくて 出来ることなら最後の時に 御仏を拝みたい と言うと おやすい御用だ と あたりにあった木の仏像を一体 向かい合わせに河原の砂に据え置いた 見ればその仏像は 幸いにも死者を憐れみ迎え給う阿弥陀仏であられた その時知時が 着ていた直垂 ひたたれ の袖のくくりを解き 仏の御手に掛け この私 中将重衡に渡してくれた 私は御仏に近寄って合掌し 阿弥陀仏に向かって丁重に申し上げた 伝え聞く所によると お釈迦様を迫害し尽くし 死後 無間 むげん 地獄に落ちた堤婆達多 だいばだった は 存命中には心の清い人々の和合をかき乱し 慈悲深い人々の血を流し 自らの人格を磨く修業者を殺害したとのこと ついには貴い御仏の教えを記した文献を 数え切れない程焼き捨て滅した悪意の権化であったけれども 天王如来の予言によれば 罪業はまことに深いけれども 御仏の教えと出会ったという善い条件により はるかな遠い未来においては かえってそれが覚りを得る原因になり得るだろう と申します 今回 私が数多くの老若男女を死なせ 尊い慈悲と憐れみの記念碑たる大仏並びに寺院を焼き払うという最悪の罪を犯しましたのも 私の本意ではなく全て戦争のために起きた事でした 決して愚かな堤婆達多のように自らの意志でやった事ではなく 歴史の流れ 世の常識や法に忠実に従ったまででございます 私はただの一度も親に逆らったことがありません 一度たりとも親不孝をしたことがありません 私の全ての行いは 子は親を敬い従わねばならない という道徳 人の道 世の理 ことわり に適った必然的行為であり 私はただ命令を果たしただけでした この世に生を受けた者のうち いや まともな人間であるならば 誰が目上の者や父の命令に背けましょう 私の心中を神仏も御覧あれ この私の心には一点の曇りもない 今はただ ひたすら尊い御仏と その慈悲の教えと それを教える人々の境地を受け入れる心でおります そうつぶやくと亡霊は じっと僧の祈りに耳を傾けた ただ一度でも阿弥陀如来を心に思うなら 無限の罪も滅し去られよう そんな言葉を承ると ただ今御唱えになった声を通して 私もこのまま涼やかな安らぎの道に入れそうな気がする そうつぶやいて亡霊は 再び西の月を見て それから古びた卒塔婆を眺めた もう月も山に入る 月の光は清らかな西の空に至ったけれども 私の心はなおこの木の下に残り この現世の奈良坂に帰ってきた この私には 心休まる安らぎの場所 三笠 みかさ の森の花の台 うてな はこれなのだろう それから僧を振り向いて また深々と一礼しながら合掌した この重衡の妄執 もうしゅう 注 迷いと執念 をお救い下さいませ けれどもその時 亡霊は まざまざと憎悪と苦悶の色をあらわにして じっと遠くの山を見た ああ 恨めしい たまたまこの現世の夜に立ち返り 心を澄ませている所に また憎しみと怒りが燃え上がる あれを御覧なさい 旅人よ 叫ぶように指さす方を見て 僧も愕然としてつぶやいた おお 確かに見れば東のあたりに 灯火 ともしび が無数に見えている あれはどういう灯火なのだろう 食い入るように揺らめく炎を見据えながら亡霊が答えた あれこそ例の有名な 春日 かすが の野守の飛ぶ火です けれども おびただしい炎はいっそう怪しく揺れて いぶかしげに僧がつぶやいた 確かに飛ぶ火のことは噂に聞いているけれども 何のための飛ぶ火だろう うめくように亡霊が答えた 昔 他国に戦争が勃発し 多くの軍隊があの春日野に野営した 夜な夜な灯すかがり火の松明の火が動くのがまるで飛ぶようだからと 飛火野 とここを名付けた また戦争地獄の時になったから あの春日野に火を灯すのだな 亡霊はわなわなと身を震わせた 誰かあれを追い払え 春日野の野守はいないのか 出てきて見るがいい さあ早く出てきて見てみろ 亡霊は恐怖と憎悪 煮えたぎる怒りをむき出しに 狂気のように叫んだ さあ 今行くぞ 行ってやるぞ 地獄の夜の戦闘に 果てしない修羅地獄の夜の戦闘は 業火と燃える激情の夜が明けてしまえば 何という浅ましい有様か 浅間山に激しく燃え盛る 憎悪と怒りの紅蓮 ぐれん の炎 焼き狩りかと見えたのは 武蔵野を焼いた戦火の影 野守が水を照らすと見えたのは まことは鏡に映る我が胸の 消すに消せない怒りの炎 氷の刃 やいば の切っ先を磨き上げたのは 見よ一刀の剣 つるぎ の光 敵も味方も刺し違え また切り払う紅蓮の炎は かえって剣の雨となり 春日野の草薙 くさなぎ か 村雲 むらくも の剣もかくやと見えて 無数に飛ぶ火の舞う中に 山河を動かす修羅地獄 戦争地獄の無限の苦悩も度重なって 亡霊はついに絶望のあまり 悲愴な思いで僧を振り向き 狂ったように絶叫した どうか私の怒りと憎悪 この終わりのない恐怖からお救いくださいませ どうかこの地獄から助けてくださいませ 軍国主義独裁者 地獄に落ちた悪魔達 以下はブログ エフェソスの追憶 からお借りしました 600万人以上のユダヤの人々が 近隣へのバッシングと差別主義を主張する 軍国主義独裁者ヒトラーとナチス党 により虐殺された ナチス ドイツの 差別主義 による人種政策により ロマ人へのポライモス 成人精神障害者へのt4作戦 反社会分子とされた人々 労働忌避者 浮浪者 シンティ ロマ人など や障害者 同性愛者 スラヴの人々も犠牲になった これら全てを合計すると ナチス ヒトラーという 軍国主義独裁者の右翼による犠牲者数は 約1000万人 になる 犠牲者は決して外国人や異民族だけではない 安倍晋三と右翼同様に ナチス ヒトラーの 国防のための戦争 により ドイツの兵士 550万人 民間人 350万人 合計 900万人が死んだ この数は実に 全国民の10 にものぼる 実に10人に一人の国民が この残忍な軍国主義の右翼の犠牲になった ナチス ヒトラーの言う 国防のための戦争 こそが これほどまでの膨大な国民の死をもたらした 防衛のための戦争 で死ぬのは権力者や与党政治家 右翼団体や軍国主義者ではない 犠牲になるのは無辜の国民であり 国家 国民 である民主主義国家では 国防のための戦争 などただの一度も存在しなかったし これからも永遠に存在しない 戦争犯罪人 昭和天皇 を頂点とする 軍国主義独裁国家 であった日本では 侵略戦争の結果 230万人もの兵士 130万人以上の民間人が死んだ 合計では 360万人 となり これは 全国民の5 に相当する 日本では20人に一人が戦争の犠牲になった 無論 その数の十倍 二十倍を超える数の人々が 戦争によって 身体障害者 になり 二度と再びまともに働けない体にされている 同時に 日本の軍国主義独裁者と軍部により 1600万人もの中国の人々が虐殺され 50万人もの朝鮮半島の人々が惨殺された この中には 日本軍によって強姦 虐殺されたが 安倍晋三と与党と右翼 同様に 一家皆殺しによる口封じ 当時の公文書の隠蔽 証拠隠滅などによって隠された大量の犠牲者の数 日本軍の侵略戦争と財産の横領その他によって 貧困や飢えによって亡くなった人々の数は含まれていない また 朝鮮半島出身の人々も 安倍晋三が死ぬまで国民をタダ働きさせようとしているのと全く同様に 当時の日本政府によって強制労働を強...
|